大切な家族を失った大きな悲しみにも関わらず、相続に関連した手続きは待ってはくれません。相続放棄や相続税の申告などは、手続きを行わなければならない期限が定められていますので、相続が開始したらすぐに準備を始める必要があります。
自宅、預金、株式、自動車、生命保険などのほか、住宅ローンや保証債務などの債務も相続財産として承継されることにも注意が必要です。
相続は、皆さんの人生の中で財産が大きく変動する機会ですので、あとで後悔しないように、専門家の知識を活用しながら対応することをおすすめします。不十分な知識や誤った情報によって、取り返しのつかないミスをする場合もありますので、まずは相続に関する正確な知識が必要です。
・相続登記のご相談は初回無料です
・出張相談も承ります。
・平日夜間や、休日のご相談にも対応いたします。(事前予約が必要です)
遺産分割協議をおこなうためには、まずは誰が相続人になるのか、
そして、それぞれの相続人がどれだけの権利を持っているのかを正確に理解する必要があります。
・配偶者相続人 | 配偶者は常に相続人になります |
---|---|
・血族相続人 |
配偶者とともに相続人になります 第1順位 子 第2順位 父母 第3順位 兄弟姉妹 |
相続人の組み合わせ | ||||
---|---|---|---|---|
配偶者 子 |
配偶者 父母 |
配偶者 兄弟姉妹 |
||
法定相続分 | 配偶者 | 1/2 | 2/3 | 3/4 |
子 | 1/2 | |||
父母 | 1/3 | |||
兄弟姉妹 | 1/4 |
代襲相続とは、法定相続人となるべき人が、被相続人よりも先に死亡している場合に、その子や孫が代わって相続することができるという制度です。相続は、相続人の生活保障という側面がありますので、単なる偶然で被相続人よりも先に亡くなったことでその下の世代が遺産を相続できないのでは酷だということで代襲相続が認められています。
代襲相続は、相続人の生活保障という意味合いの制度ですから、被相続人の配偶者や父母には代襲相続はありません。
兄弟姉妹については代襲相続がありますが、その兄弟姉妹の子(被相続人の甥、姪)の代までしか代襲相続人にはなれません。なお、相続人が相続放棄をした場合には、その相続人の子は代襲相続人にはなりません。相続放棄によって、その相続人は初めから相続人ではなかったことになるからです。
武蔵野太郎さんが亡くなって相続が開始しました。太郎さんの相続人は、妻と息子2人のはずでしたが、次男は不幸な事故で太郎さんよりも先に亡くなっていました。次男には娘が一人います。 この場合、「妻と「長男」のほか、代襲相続人である「次男の娘の3名が相続人となります。
遺留分というのは、民法が保障している相続人の最低限度の相続分のことをいいます。遺言によって遺留分を侵害された相続人は、侵害した他の相続人や受遺者などに対し、侵害された遺留分を請求することができます。請求した日付が重要な意味を持つため、一般的には内容証明郵便などによって請求します。
なお、遺留分減殺請求権は、相続の開始および遺留分が侵害されていることを知った日から1年以内に行使しなければなりません。また、相続開始から10年を経過した場合も請求できなくなります。
自由奔放な生き方を貫いた小金井文夫さんが亡くなって相続が開始しました。さんざん苦労した妻と一人息子が、金庫にしまってあった公正証書遺言を開封したところ、そこにはなんと「愛人に全財産を遺贈する、と書かれていました。結婚以来ずっと専業主婦だった妻は自分名義の預金もなく、生活費にも事欠く状況です。
この場合、全体の2分の1が遺留分となりますので、妻と息子にはそれぞれ4分の1の遺留分があります。そこで、妻と息子は愛人に対して遺留分減殺請求を行いました。
寄与分とは、被相続人の事業に関する労務の提供、財産の給付、療養看護等によって、被相続人の財産の維持または増加に特別に寄与した相続人が、法定相続分以上の遺産を相続できるとする制度です。
寄与分がある場合には、被相続人の遺産から寄与分を差し引いて、残った遺産を相続人で分けます。寄与分のある相続人は、その相続分に寄与分を加えたものが相続分となります。
駅前で文具店を営んでいた赤坂三郎さんが亡くなって相続が開始しました。なにかと病気がちだった三郎さんに代わって、店は長男の陽平さんが切り盛りしていました。
妻と息子二人の相続人全員での協議の結果、陽平さんの寄与分を500万円と定めました。遺産が3000万円だとすると、法定相続分では妻1500万円、息子がそれぞれ750万円となります。これに陽平さんの寄与分を500万円とすると、3000万円からその500万円を差し引いて、残りの2500万円のうち妻が1250万円、次男が625万円、陽平さんが625万円+500万円の1125万円という計算になります。
特別受益とは、婚姻、養子縁組または生計の資本として贈与や遺贈があった場合、これを遺産の前渡しであると考える制度です。特別受益がある場合、その遺贈・贈与の額を遺産に加えて、各相続人の相続分を計算します。特別受益があった相続人については、相続分から特別受益分を差し引いた額が相続分となります
四谷和広さんが亡くなって相続が開始しました。すぐに妻と息子、娘の相続人全員で遺産分割協議を行いましたが、生前に長男が自宅建築費を500万円出してもらっていることが問題になりました。話し合いの結果、息子さんが出してもらった建築費500万円は特別受益とすることになりました。遺産が3000万円だとすると、法定相続分では妻1500万円、子がそれぞれ750万円となります。これに息子さんの特別受益額500万円を加えた3500万円のうち妻が1750万円、娘875万円、息子が875万円-500万円の375万円という計算になります。
相続の選択相続が開始した場合、相続人は、相続の開始を知った日から3か月以内に遺産相続に対する自らの立場を選択しなければなりません。単純承認、限定承認、相続放棄の3つから、どれか1つを選択しなければなりません。